結束バンドの締付強度と締付保持力の違い
ほとんどの結束バンドは、締付力と締付後の保持力は同じではありません。例えば専用結束工具を使用して10kgで結束バンドを締め付けたとしても、結束後の実際の締付保持力は必ず10Kgを下回ります。
これには以下の3つの理由があります。
1. |
ほとんどの結束バンドは、ロックする際には必ずストラップが若干戻ることによって初めてロック機構が働き、対象物に締め付けられます。つまり、結束工具を使用してストラップを締め付けている間はロック機構は働いてはいません。ヘッド内のロッキングヘッドは下方に寝た状態になっています(下記写真A)。手動工具が設定したテンションに達し、カッターでストラップを切断した瞬間にストラップが若干戻ることにより、ロック機構が働き、対象物への結束が完了します(下記写真B)。このストラップが戻るという現象により、実際の締付保持力は結束時の締付強度より弱くなります。 |
---|---|
2. |
一体成形型の結束バンドは、ストラップの溝とロック爪の山が嵌合することでロックします。結束径によって、この溝と山の嵌合は最大一山分ずれる可能性があります。これも締付保持力が締付力と同等とならない一因となります。 |
3. |
結束される対象物の弾性によっても、締付保持力は変化します。弾性の大きな対象物は、ロック時のストラップの戻りが、対象物の弾性に吸収され戻りは小さくなります。一方、弾性が低い対象物への結束は、より締付強度と締付保持力の差が大きくなります。 |
このような理由から、結束バンドの実際の締付保持力は工具の締付力より小さくなります。工具を使用し同じ締付力で結束しても、様々な条件で締付保持力は変化します。
要求される結束の信頼性を確実にするためには、締付力の管理よりむしろ、結束後の実際の締付力の管理が必要となります。
![]() |
![]() |
![]() |
---|---|---|
(A) 締付時 |
(B) ロック時 |