ハイカットの効用

 結束バンドを結束する際、ストラップを数ミリ残して切断するケースが見られます(下記左写真・ハイカット)。恐らくこれは、万が一ストラップとロッキングヘッドの嵌合がずれた場合の保険として、ストラップを残してカットしているものと思われます。
 このハイカットは、結束バンドの性能を上げることには全く繋がらず、ループ引張強度はヘッドと面一でカット(下記中写真:フラッシュカット)とほとんど変わりません。むしろ、ハイカットは以下のようなリスクを生じる可能性があります。

・鋭利なカット面が突出するため、製造担当者やメンテナンス担当者を傷つける。
・鋭利なカット面が隣接する他のハーネスや機器にダメージを与える。

ハイカット フラッシュカット 隣接する他のハーネスや機器にダメージを与える

ハイカット

フラッシュカット

 結束バンドは、そのストラップが若干戻ることによって、ストラップの溝とロック爪の山が嵌合してしっかりと結束されます。面一でカットした場合、ロック爪とストラップの溝の位置関係から、最大ロック爪の一山分ストラップがヘッド内に入る可能性があります。ただし、実際には結束工具のカッターの厚みとブレードガードの厚みがあるので、実際のカット位置はヘッド面とは厳密には面一になりません。
 多くの結束バンドは、ロック爪の先端とヘッドの面には上記写真右の赤字で示した余地を持たせてデザインされています。これは、ロック爪一山分と同等の距離で、上述の嵌合の関係から、カット面からストラップがヘッド内に入り込んでも、結束性能に影響を与えることはありません。ストラップの切断面は、ロック爪の先端以下に入り込まなければ、ループ引張強度は、カット位置がどこにあってもその強度に変化はありません。(下記グラフ参照)
 通常、結束バンドが破断する場合は、ロック爪の根元が破断します。よって、ハイカットにしたとしても、むしろそれは上記のようなリスクを抱えるだけで、結束バンドの性能を向上には繋がりません。

カット長によるループ引張強度の相違

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