耐候性概要

 太陽光線に含まれる紫外線は、照射している物質、特にプラスティックの分子構造を破壊して、その材質を浸食します。材質が破壊されると、必然的に脆くなり、色があせて表面の光沢も失せていきます。また、引張強度と伸長度が減衰します。

 耐候性ナイロンや耐候性ポリプロピレンに含まれている「カーボンブラック」は、最も効果的に材質を安定化させる材料の一つです。2%のカーボンブラックを平均混合させることにより物理的な特性を損なうことなく、耐紫外線性が増強されます。カーボンブラックの2%以上の混合や他の耐紫外線安定剤を使用しても、光による破壊性は減少しません。
 テフゼル*のような特殊プラスティックは、素材そのものが耐紫外線性が強く、特に安定剤を添加する必要はありません。

耐候性の試験方法

 紫外線による影響と耐紫外線安定剤の効果を測定するために、工業規格に基づく2つの耐候性試験方法、すなわち屋外での自然耐候試験、及び加速耐候試験を行います。

屋外での耐候試験

 屋外での自然耐候試験と加速耐候試験を比較すると、自然耐候試験の方がより信頼のおける試験方法です。自然耐候試験は、プラスティック向けの屋外での耐候試験として推薦されている、ASTM D1435-85の方法に準拠しています。また、この試験では、屋外の紫外線以外の要素による影響も測定することができます。
 自然耐候試験は、実際の使用条件に非常に近い状態で試験ができるという利点があります。しかし、試験サンプルが破損に至るまでに大変長い時間がかかってしまうことと、同一サンプルで他の耐薬品性などの試験ができないという欠点があります。

加速耐候試験

 加速耐候試験は、紫外線、温度、及び湿度等の併合条件による劣化の進み具合を加速して測定するために使われます。試験方法は、下記の基準に基づいています。

▲ASTM D1499-84 プラスティックに対し、カーボンアークタイプの光線の照射と水の噴霧を行う機器を使用
▲ASTM D53-84  非金属材質に対し、蛍光性凝縮紫外線タイプの光線の照射と水の噴霧を行う機器を使用

 ASTM D1499-84では、自然太陽光線に近似したカーボンアーク灯と水の噴霧が規定の条件になっています。擬似太陽光線のみの照射を108分と、擬似太陽光線照射と水の噴霧を12分の、合計120分(2時間)を1サイクルとして、20時間/日の試験を行います。擬似太陽光線の照射中、試験室内部の温度は約63℃になります。室内の湿度のコントロールは、必要はありません。
 ASTM D53-84試験では、紫外線のみを出す蛍光太陽光線が使用されます。サイクル中、熱せられたウォーターパンは、水分(水蒸気)を生じます。1日のサイクルは照射が20時間と、続く水分噴霧の4時間で構成されます。試験室の内部温度は、照射中は50℃、水分噴霧中は40℃になります。

 結束バンドの耐紫外線性を確認する方法として、これらの試験は効果的な方法ですが、加速耐候試験と屋外での自然耐候試験の結果は、必ずしも相関するとはいえません。

*テフゼルは、DuPont社の登録商標です。

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