使用環境とループ引張強度

 結束バンドの性能を評価する基準として、最小ループ引張強度が使用されます。
 この最小ループ引張強度は、SAE(航空宇宙局)規格のAS23190に基づいて表示されています。

 ループ引張強度は以下の方法で測定されます。

1. 結束バンドを温度49℃、湿度20%に24時間放置する。
2. 分割するマンドレルに結束工具を使用して結束する。
3. 右図のようにマンドレルを25.4mm/分のスピードで分割させる。
4. 結束バンドが外れるか、切れた時の強度を測定する。

ループ引張強度

 上記の試験方法によって測定された数値をループ引張強度とします。ループ引張強度は、結束バンドの幅、もしくは材質によって異なります。

 また、カタログ等に掲載される結束バンドのループ引張強度は、上記条件時の最小ループ引張強度であり、実際の使用環境での強度を保証するものではありません。
 一般的に樹脂製品は、高温下では柔らかくなり強度は弱くなります。また、低温下では強度は強くなりますが、脆くなる傾向があります。
 さらに、一般的な結束バンドの材料であるナイロン66は、非常に吸水しやすい特徴があり、吸水量によってその強度は変化します。

 標準ナイロン66製の結束バンドの最高使用温度は85℃ですが、85℃の温度条件下では、規定されたループ引張強度は約50%減少すると考えられます。これは、結束バンドの最高使用温度は、材料の初期の物性値が半減する温度(RTI:Relative Thermal Index) を最高使用温度としていることに起因します。

 同じ幅の結束バンドであっても、使用材料によって最小ループ引張強度は異なります。
 例えば、ポリプロピレンの材質自体の引張強度はナイロン66の1/2~1/3と弱いため、ポリプロピレン製結束バンドのループ引張強度も、同様に弱くなります。

 このように最小ループ引張強度は、結束バンドの性能を示す指標となりますが、実際の使用環境では、必ずしもその値を保証するものではありません。よって、結束バンドの幅や材料を選択する際には、実際の使用環境を十分に考慮し、それらを選択する必要があります。

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