結束バンドの強度と作業性

 一般に結束バンドは、その強度が強ければ強いほど良い結束バンドと思われがちですが、果たしてそうでしょうか?結束バンドメーカーにとって、実は結束バンドの強度を上げることはそれほど難しいことではありません。

 右の写真は、実際の結束バンドのヘッド部の断面写真ですが、赤丸で囲った部分が非常に薄くなっていることがわかります。この部分を厚くすることで、結束バンドの強度を強くする事は可能です。

 しかしながら、この部分を厚くすることは作業性の悪さや、信頼性の低下にもつながってしまいます。この赤丸の部分は、ヘッド内のロック爪の付け根部分になります。ストラップがヘッドに挿入された際には、この部分がヒンジのように可動することによって、ロック爪が下方向に押し付けられます。この動きにより、ストラップをスムースにヘッドに挿入することが可能になります。

この部分を厚くすることで、結束バンドの強度を強くする事は可能

 締付後、結束バンドがロックされる際にはロック爪が立ち上がる事によって、ストラップの溝とロック爪の山が嵌合し、結束が完了します。つまり、この赤い部分はストラップの挿入及びロック時に自在に動く必要があります。

 通常、結束バンドが破断する場合は、結束バンドの中で一番薄いこのロック爪の根元が破断します。つまり、この部分を強くすれば(厚くすれば)、結束バンドの強度を高めることが可能です。しかしながら、前述の通りこのヒンジ部分は、ストラップの挿入時に自在に可動する必要があるために、この部分を厚くすると、ストラップをヘッドに挿入する際の力が余計に必要になることを意味します。これは、多数の結束作業を行う作業者にとっては大きな負荷となり、作業性の低下を招きます。

 また、この部分を厚くするとストラップ挿入時にヘッドが下方向に動きにくくなるため、ストラップの溝がロック爪にあたる抵抗が大きくなり、結果的にロック爪の山を削り、結束バンドとしての性能を下げる原因ともなります。

 最も優れた結束バンドとは、より少ないストラップの挿入力で、且つ規定された強度を維持するようにデザインされた結束バンドということになります。

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